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吉成カフェ"Zacばらん"(第十一回)

 
吉成カフェ“ Zac(ざっく) ばらん”とは・・・
「Z : zest」「A : action」「C : coordination」をそれぞれ意味し
コーヒーを傾けながら気楽に意見交換するサロン形式の会です。

【日 時】 2011年11月17日(木)18:00〜20:00
【会 場】 JSTイノベーションプラザ宮城 2階 交流ラウンジ
【テーマ】 最先端無線技術による『災害支援通信ネットワーク』構築に携わって
【話し手】

原田 博司 氏

独立行政法人情報通信研究機構 (NICT)
ワイヤレスネットワーク研究所 スマートワイヤレス研究室長

 「阪神淡路大震災」での自らの被災体験から、『役に立つ災害用通信ネットワーク』を目指し開発した、“簡便・堅牢かつ汎用性の高い無線通信ネットワーク”が今回の「東日本大震災」の被災地で“役に立つこと”を実証したという、15年以上にわたる体験談をお聴きしました。

● 何故、災害用に取り組んだか?
 95年の「阪神淡路大震災」を神戸で直接被災し、通信手段の断絶から起こる避難所間の情報共有が不十分であることを身にしみて感じた。また当時、通信工学を専攻していたが、母親から「あんた でんき・・・やっとるけど、いっこうにやくにたたんね」と言われ、「災害時に役に立つ通信ネットワーク」を実現しようを決意した。

●何故、我々が構築しないといけなかったか?

 通信キャリア(通信会社や携帯電話会社)は、平常時、競争関係にある中で、事業として“うま味の無い”災害用(有事)の各社の枠を超えた共通通信ネットワークをつくる動きが無かった。


● それをどんな技術で実現しようとしたのか?
 “コグニティブ無線技術を使ったネットーワークインフラ”で、基地局に相当する“コグニティブ”無線ルータ(数万円)を、管理サーバーに接続し、一元管理する。

● このネットワークの実証実験はどのように行ったのか?
 2010年9月から、藤沢市(神奈川県)にコグニティブ無線ルータを設置し、横須賀市の管理サーバーと接続し、実験した。1年間、1,800人で最大2,500接続まで実績を残すまでになった。


● 東日本大震災への対応とその結果は?
 震災発生(2011年3月11日)直後、藤沢市で実証実験中の、無線ルータの回収を行い、3月15日には、被災地への発送準備を終えた。ところが、各県の災害本部も被災地の状況を正確に把握できていないため、「どの被災地に持ち込めばよいか」直ぐには決まらなかった。ようやく3週間後の4月5日に、岩手県から要請があり、大きな津波被害を受けた大槌町の避難所となっている小学校に1台目を設置した。避難者が早速、ニュースサイトや動画投稿サイトでさまざまな情報を閲覧できた。一つ導入できると、その後の活動はスムーズになった。

 そして、設置後の時間が経つに連れ、通信量は増加し、震災から8ヶ月経った現在でも68台のルータが、全長400kmに渡る各被災地で、稼動を続けている。



● 何故、我々のものだけが、被災地で使われ続けているのか?

@どの通信キャリアの端末でも使える
Aボタンを押すだけの簡単操作。
Bプロが設定する必要の無い簡単な設置。
C充分な事前準備(JSTファンド活用による小型化と、藤沢市での実証実験)。


● 今後、このネットワークを発展・普及させるための課題は?
 ガスメータや線量計との接続等によるスマートメーターとしての展開も考えているが、平常時のネットワークシステムとしては、既存の通信キャリアとの競争となり、使用料金が約2倍と高いことがネックとなっている。

 リスク管理のための“国の機関”を設け、災害(有事)用として、常備することも考えてよいのでは?


【第11回進行係】藤田慶一郎(JSTプラザ宮城 技術参事 兼 科学技術コーディネータ)
【世話係】磯江 準一(JSTプラザ宮城 コーディネートスタッフ)

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